1.災害井戸の水は飲める?

「災害井戸に登録されている」ことと「飲用できる」ことは別です。自治体によって制度は異なりますが、生活用水を提供するための井戸があります。例えば藤枝市は、登録井戸の水を飲用以外の生活用水として提供する制度としています。横浜市も、災害応急用井戸の水を飲み水に使用しないよう案内しています。

生活用水は、認められた範囲でトイレ、掃除、洗濯などに使う水です。飲用できると明確に案内されていない井戸水は、飲み水や調理に使わないことを基本にしましょう。

口に入る用途には、飲用可能な水を

飲むときだけでなく、調理、歯磨き、食品や食器の最終的なすすぎ、乳児用ミルクなどにも飲用可能な水を使います。「生活用水」「飲用不可」の水は用途を守ってください。

2.災害後の井戸水に注意が必要な理由

普段から使っている井戸でも、地震や水害の後は水質や設備の状態が変わる可能性があります。浸水で汚れた水が入り込んだり、井戸や周辺設備が破損したりすると、以前と同じ状態で使えるとは限りません。

厚生労働省は、浸水後に井戸水を使用する場合、水質検査を受けるなどして安全性を確認してから使用するよう案内しています。災害前に飲めた井戸でも、災害後の安全性を自己判断しないことが大切です。

3.見た目がきれいなら大丈夫?

透明で、においがない水でも、それだけで飲用できるとは判断できません。目に見えない微生物や化学物質が含まれている可能性があります。

「冷たくてきれい」「昔から使っている」という印象で判断せず、現地の表示と自治体・管理者の案内を確認しましょう。濁りや異臭などの異常がある場合は使用を控え、管理者に伝えてください。

4.煮沸すれば飲める?

煮沸は微生物への対策に役立ちますが、どんな井戸水でも飲料水に変えられる方法ではありません。米国疾病予防管理センター(CDC)は、燃料や有害な化学物質などを含む水は、煮沸や消毒で安全にできないと説明しています。

厚生労働省の災害時の健康情報には、井戸水をやむを得ず使用するときは煮沸等による殺菌に注意するという案内があります。ただし、これはすべての井戸水の安全性を保証するものではありません。

生活用水を自己判断で煮沸して飲まない

飲料水を確保できないときは、自治体・保健所などに相談し、給水情報と最新の指示を確認してください。汚染が疑われる水は、別の安全な水源に切り替えましょう。

5.「飲用可」の表示と水質検査を確認する

飲料水としての利用を想定した井戸がある地域でも、確認するのは災害後の現在の案内です。古い表示や過去の検査結果だけで、今の飲用可否を判断しないようにしましょう。

  • 現地の表示「飲用可」「飲用不可」「生活用水」など、用途を確認します。
  • 自治体の最新情報飲用の可否や、利用停止・利用条件の案内を確認します。
  • 所有者・管理者の説明現在提供している水の用途と、受け取り方を確かめます。

検査をしている井戸でも、生活用水としての確認など、検査の目的や項目は異なります。登録や検査の有無だけで飲用できると考えず、案内が不明な場合は飲食に使わないでください。

6.災害時の飲み水はどう確保する?

飲み水には、家庭で備蓄している飲料水や、自治体の応急給水拠点・給水車などで飲料水として提供される水を利用しましょう。平時から給水場所と情報の確認先を調べておくと、断水時に行動しやすくなります。

井戸の生活用水を掃除などに使えれば、備蓄飲料水を飲食用に残せます。飲用できない井戸でも、用途を守れば暮らしを支える助けになります。

トイレは水を流す前に確認を

生活用水があっても、下水道や建物の排水設備の安全が確認できるまでは流さず、携帯トイレなどを使いましょう。詳しくは第3回「飲み水と生活用水の違い、断水時のトイレはどうする?」をご覧ください。

7.みず知るべで井戸を探すときのポイント

平時のうちに、自宅や職場、学校の周辺、避難場所までの経路に井戸があるか、みず知るべの地図で調べておきましょう。掲載されている出典や自治体の案内もあわせて確認すると、用途や利用条件を把握できます。

地図の登録情報だけで、災害時に使えるとは判断できません。設備の破損、停電、所有者の状況、周辺の被害などにより利用できない場合があります。災害時は自治体・所有者の最新の案内を優先し、危険な場所へ無理に向かわないようにしましょう。

「飲める水」と「使える水」を分けて考えよう

飲料水は飲食のために、井戸の生活用水は認められた用途に。容器や表示も分けて、家族で使い方を共有しておきましょう。

近くの井戸を知ることに加えて、その水の用途と災害時の確認先を知っておくことも、大切な備えです。

参考にした公的情報